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1年前 日本国内は電車内での痴漢行為、教師が女子高生の胸を触った事件、会社内での上司のセクハラなどいわゆる「女性の胸に触れたこと」による犯罪が非常に増えていた。 コンプライアンスやセクハラ、パワハラなどギスギスした閉鎖社会に対してストレスが溜まった男性たちの暴発が主な理由であった。 またそれに伴い、比例して冤罪の数も増えて、一切何もやっていない人間が苦しんだ末に自殺に追い込まれると言う非常に歯切れの悪い結末に終わった事件もあった。 要するに被害者であるところの女性の主観による証言しか信用されなかったから被疑者が何を言っても聞いてもらえないからである。 冤罪で被害にあった男性はさぞや辛い思いをして死んでいったことであろう、同情を禁じえない。 このような背景から、男性は冤罪を恐れて電車や満員のエレベーターに絶対に乗れないような窮地に至ったのである。 「瓜田に靴を履かず、梨下に冠を正さず」 まさに中国の故事に従い、男性たちはとにかく「怪しまれない事」に徹した。 しかし世の中は広い。 胸を触られて死にものぐるいで告発する女性がいる一方で、電車内で痴漢されることを喜びと感じていた女性たちもいたのである。 彼女たちは「男性が乗らなくなった電車では毎日の通勤の楽しみが無くなった」として行動を起こしたのがこの法案設立のきっかけであった。 すなわちこの法案の設立者はスケベな男性ではなく、なんと女性自身であった事が世間の耳目を集めた理由だ。 もちろん「自らのオッパイを触って欲しい」と願望する女性の数は少ない。 比率を数字にすれば1000対1くらいの数字であった。 しかし現実にソープランドで働く女性全てが何もお金に困って「強制労働」を強いられた人ばかりとは限らないのと同じ様に本当に「性的な興奮を楽しむ女性」がいることには間違いない。 1000対1という比率は、日本の女性人口を仮に6000万人と仮定した場合、少数派ではあるが実は6万人の「そういう女性」が存在することになる。 要するにそういった少数派の女性たちが、ある女性を中心として党を結成したのが全ての始まりであった。
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