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選挙演説 1
◯◯駅前広場。
「はじめまして!皆さん、お元気ですかー?」
真っ赤なビキニ姿にタスキを掛けた桃愛が登場した。
取り巻く群衆からはナイスバディの桃愛候補に
「おー!」と言う合戦場のような大きな声が届いた。
「私が立候補の桜井桃愛です。『ももえ』と呼んでください!皆さん、よろしくお願いします」
群衆からは、われんばかりの拍手が起こった。
「私が選挙に当選した暁には、皆さんは街中や電車に乗った時に女性の胸を触ってもいい法案を通します」
「「おー!」」
この言葉にもう一度地鳴りのような声が上がった。
「もちろん、ルールは定めます。なんでもかんでも触っていいって言うんじゃありません」
「どういうルールなんだ?」
「はい!それを今から説明します」
興奮した男性陣は真剣に聞き始めた。
中にはメモを取る姿も見られる。
「みなさん、そもそも世の中のすべての女性が胸を触られて嫌だと思っているわけではありません!」
「そうなのか?」
「本当?」
「信じれんな」
「そうなんです。中には触って欲しいと思う人もいるし、触ってほしいと思う時もあるんです」
「マジ?」
「本当か?」
「本当です。私自身がそうです。しかしすべての女性がこの対象になるとは思わないでください。触っていいのはあくまでも『触って欲しいと思う女性の胸だけ』なんです」
「なるほど。しかしそれをどこで区別するんだ?」
「いい質問です。触って欲しい女性にはあらかじめ私たちの党のシンボルマークである桃のマークのバッジを胸につけます」
「なるほど。そのバッチをつけている人が触っても言い訳だな」
「はい、話を最後まで聞いてください。このバッチにはチップが内蔵されており、1メートル以内に接近したら、あなたたちのスマホのアプリで金額が表示されます」
「金額?触るのは無料ではないんだな」
「当たり前ですよ。胸を触った対価はキッチリ払っていただきます」
「そんなもの安いもんだ」
「俺も払う!」
「ありがとう。そして金額に納得したならオッケーのボタンを押してください。支払い方法はスイカやペイペイなどの先払いになります」
「どれぐらいの金額になりそうなんだ?」
スケベそうな親父が身を乗り出してきた。
「値段は各女性が決めて結構なんですが、私だったら500円でも結構です」
「何?500円だと?俺は今払ってもいいぞ!」
「まだだめです。まず私たちを今回の選挙で通して、国会で法案を通してからです」
「なるほど。500円の根拠は何だ?」
「スタバのコーヒー、一杯でオッパイが触れます。『一杯でオッパイ』が我が党のモットーです!」
「あはは」と群衆から大きな笑いが漏れた。
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