プロローグ

1/1
151人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ

プロローグ

駅裏にある白い6階建のラブホテル。 入るのに抵抗がなかったと言われたら嘘になる。 だけど彼が好きだったからついて行った。 彼に全てを任せて目を瞑る。 彼は優しく私をリードしてくれて、終わった後も腕枕をしてくれた。 すごく幸せだった。 夜中、彼のスマホが鳴ると、彼はすぐにスマホを確認する。 「友達が事件に巻き込まれたらしいんだ。 ごめん、今から行ってくるよ。 君はゆっくり寝てて。 朝帰ればいいからね」 寝起きでまだ頭が働いていない私は、彼が服を着るのを布団の中からぼーっと見ていた。 「じゃあね」 数分後、彼はそれだけ言って部屋から出て行った。  友達が事件に巻き込まれたと言われれば仕方がないけど、もっと一緒にいたかった。 一緒にホテルを出たかった。 悲しい気持ちになって布団に潜り込む。 もし、私が人生をやり直せるならこの日に戻りたい。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!