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プロローグ
駅裏にある白い6階建のラブホテル。
入るのに抵抗がなかったと言われたら嘘になる。 だけど彼が好きだったからついて行った。
彼に全てを任せて目を瞑る。
彼は優しく私をリードしてくれて、終わった後も腕枕をしてくれた。
すごく幸せだった。
夜中、彼のスマホが鳴ると、彼はすぐにスマホを確認する。
「友達が事件に巻き込まれたらしいんだ。
ごめん、今から行ってくるよ。
君はゆっくり寝てて。 朝帰ればいいからね」
寝起きでまだ頭が働いていない私は、彼が服を着るのを布団の中からぼーっと見ていた。
「じゃあね」
数分後、彼はそれだけ言って部屋から出て行った。
友達が事件に巻き込まれたと言われれば仕方がないけど、もっと一緒にいたかった。
一緒にホテルを出たかった。
悲しい気持ちになって布団に潜り込む。
もし、私が人生をやり直せるならこの日に戻りたい。
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