犯人との対峙

16/17
151人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
遠藤支部長の雰囲気が、東支部のカラーを作っているのかもしれない。 東支部の生保レディたちから、南支部から東支部に移動した事情を聞かれる事はなかった。 東支部は、外まわりから戻ってくると、誰かが持ってきたお菓子をみんなで食べるというアットホームな雰囲気だ。 南支部の担当企業は全てなくなったけど、東支部ではちょうど退職された生保レディがいて、その方の担当企業と担当地区を私が受け持つ事になった。 もちろん他の生命保険会社も入っている企業ばかりだったけど、その方が30年以上生保レディの活動を続けていたおかげで、社員さん本人のデータの他、家族のデータや趣味、プレゼントして喜ばれたものなどが何ページにも渡って書かれているノートを頂いた。  おかげで、東支部に移動になった月から、契約を取る事が出来た。 遠藤支部長は、高額契約よりも、お客様を大事にしなさいという考え方だ。 今日は、生命保険に興味を示してくれた25歳の女性に保険の説明をしている。 高くて保険料が払えないというので、私はモバイルノ-トパソコンを開き、その女性の生命保険のプランを見せる。 「それなら入院や手術などの保証はそのままにして死亡保障は減らしましょう。 結婚してライフステ-ジが代わった時に見直しをしたら良いと思います」 と数字を変更したプランを提案した。 「これくらいなら払えます。 入院でお金をもらえるのは安心ですね」と女性は笑顔で言い、契約をしてくれた。 最初からこんな風にお客様を大事にしていたら、同窓会の様な事件は起こらなかっただろう。 これからはお客様第一の仕事をすると決めている。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!