エピローグ

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 電話の向こうで胡麻が歓喜する様子が伝わってきた。どこから電話しているのか解らないが、あまり目立つ行動は控えて欲しい。鷹見は敢えて冷静な声音を崩さなかった。 「特4は比較的自由に動ける。だが真向井はまだ完治していないし、影山には引き続き沼池について調査してもらいたいと思っている」 『もちろんっす。あたしもいま事件抱えてるし。だから動ける時に──』 「由依について知ってる情報をすべて俺に教えてくれ」 『うん?』 「沼池の近くにいるおまえは目立たないほうがいい。沼池とEFUについて、もし何か誰かに聞かれたとしても、知らないと言っておけ」 『えっ、あっ、うん……あの、鷹見さ──』 「あとで連絡する」  一方的に通話を終わらせると急いたように立ち上がり、椅子の背に掛けておいたジャケットを掴んだ。真向井と影山、そして尾澤が驚いたように一斉に顔を上げる。彼ら一人ひとりに目を向けながら、鷹見はこの場を離れる理由を必死に探した。 「……ちょっと、出てくる」 「に何かあったの?」  影山の言葉に鷹見は僅かに目を見開いた。由依を「青い鳥」、そして沼池を「街の実力者」として胡麻が語って聞かせた事は影山から聞いていた。鷹見は影山をじっと見据えながら深々と頷いた。 「いなくなったらしい」 「えっ──」  言葉を失う2人と別に、尾澤がきょとんと首を傾げた。 「鳥? え、なに、インコ?」  この件にこれ以上誰かを巻き込むつもりはない。辞職する覚悟もできている。 「──とても珍しい鳥です。早く探さないと」 「え、でも鳥でしょ? そう簡単に見つかるもんじゃないと思うよ? まあ、たまに自分の名前とか住所しゃべって見つかるのもいるみたいだけどさあ」 「だからです。こっちから見つけないと」 「あ、うん……でも鷹見君、わかってると思うけど、事件が入ったらこっちが優先だからね」  今はまだ、自分は警察官だ。警察官としての職務を放棄するわけにはいかない。鷹見は尾澤に頷くと身を翻した。 「鷹見、助けが必要ならいつでも駆け付けるから、遠慮しないで連絡しろよ!」 「俺も力になるよ!」  真向井と影山の声に一瞬足を止めたが、鷹見は振り返らずにフロアを後にした。 [了]
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