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「でも、私が一番心配なのはあなた達三人の働き口よ。それが本当に申し訳なくて。今一番の心配なの」
サーリが沈鬱な表情で三人の顔を交互に見た。確かに、この酒場が無くなるということは、三人の仕事も無くなるということだ。
しかし、サーリが掴んだ折角のチャンスを無碍にする訳にはいかない。
「サーリさんのこと応援したいですし。私達のことは気にしないで下さい!
きっと何とかなりますから!
ね、カズラもアンゼリカもそうだよね」
「ええ! もちろん」
「サーリさんがやりたいことをやるのがいいですよ!」
二人も首を大きく縦に振った。
「嬉しいわ、ありがとう。じゃあ、軍からの要請通り、一週間後に店を閉めることにするわ。あと少しになっちゃったけど、最後までよろしくね」
「ええ、本当に、ありがとうございました」
「こちらこそ、分かってくれて本当にありがとう」
サーリは涙ながらに立ち上がると、三人をまとめてぎゅうと抱きしめた。
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