69.会いたかった

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「ありがとう。リヒトも」 「うん。僕もそう思うから」 「でもさ。私達は三人共、とんでもないことを隠していたんだね」 「そうだな、おれたちは本当に、とんでもない家族だ」  ユタカは涙を腕で拭うと、屈託の無い笑顔で言った。サザとリヒトもつられて笑った。  その日は三人でサザを真ん中にして手を繋ぎ、寄り添いあって眠った。  ―  次の日、サザはリヒトと一緒にネロの治療を受けているユタカのベッドの上に座り込み、日がな一日、今まで話せなかったお互いの話をし続けた。  サザは自分が判断を誤ってユタカに森で怪我をさせてしまったことを、やっと謝ることができた。 「そんなこと……いいんだ。おれはサザがいてくれたから生きてたことには変わりないから」  ユタカはその言葉にただ涙するだけのサザを見て笑いながら、サザの癖っ毛をくしゃくしゃと撫でた。  今までも十分幸せではあったが、何も隠す必要がない状態では二人のことがもっと好きになれたような気がした。  その間にカズラやアンゼリカ、アイノや沢山の街の人たちがサザに会いに来て、帰ってきてくれて良かったと強く抱きしめてくれた。  国王が言った通りサザが帰ってきてからはユタカは傷の治りが段違いに良くなり、ネロは驚いていた。  その日には完全に回復することが出来た。  数日後、国王の弾劾裁判が行われた。国王を生かすか処刑するかの処遇の全権は国民に委ねられたのだ。サザとユタカとリヒトも証人として出廷した。
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