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6.カレンデュアのお仕事
女子修道院に戻ると女性は
「後のことはタンジーに聞いて」と言ってぱっと消えてしまいました。カレンデュアは驚いてキョロキョロし、さらに辺りも探しましたが、女性の姿はどこにも見当たりませんでした。仕方なくカレンデュアは諦めて、一人でその“タンジー”を探しに行くことにしたのでした。
「よろしくね」
タンジーはサントリナ女子修道院の修道女で、新米修道女の教育係でした。年齢はカレンデュアの母親より上でしょう。顔の造作も動作もはつらつとしていて、元気で気さくな感じのする女性でした。
「あなた、名前は?」
「カレンデュアです」
「まあ、素敵な名前ね。だけど……カレンでいいかしら?」
「いいですよ。お母さんもそう呼んでいたし」
「そう、じゃあカレン。改めてよろしくね」
「はい、よろしくお願いします。タンジーさん」
「歳はいくつ?」
「七歳です」
「七歳……」
少し考えを巡らすようにうなるとタンジーは、奥の収納棚から白い布を持ってきました。それを持ってすたすたと歩き出します。修道院の中は広くて、長い廊下が奥のほうまで伸びていて、部屋がたくさんありました。カレンデュアはそれらをゆっくり見物したいのを我慢してタンジーに付いて行きました。タンジーはその一室の前で足を止めると「ここがあなたの部屋よ」とドアを開けてカレンデュアを促しました。カレンデュアは部屋に入り、そこに荷物を下ろしました。中には机が何台かあり、壁のあちこちにタペストリが飾られていました。
「今はお祈りの時間でみんないないけど、あとで戻ってくるからちゃんと挨拶してね」
「はい」
素直に返事をしたカレンデュアに、さあ、これを付けてとタンジーが持っていた白い布を手渡しました。何かしらと広げてみるとエプロンと三角巾でした。
「今日からあなたには、ここで下働きとして働いてもらうわ」
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