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ふと目が覚めた。
静けさと深い闇に、夜明けがまだ遠いことを知る。
ああ。まだ夜なのか。
目覚めて良かった―――
目覚めてしまった―――
まったく別の気持ちが同時に胸に押し寄せて、絶望なのか希望なのか分からない想いが、ひたひたと胸の内に沁み込んでくる。
浮かび上がった意識とは逆に、重い体は布団に張り付いたようで。
いっそこのまま早春の柔らかな闇に溶けて、朝靄と一緒に消えてしまえれば楽になれるのだろうか。
そんな仄暗い感情に身を任せて、もう一度瞳を閉じた時。
僕のすぐ隣から、君の寝息が聞こえてきた。
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