あしたまだきの狂詩曲

2/6
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ふと目が覚めた。 静けさと深い闇に、夜明けがまだ遠いことを知る。 ああ。まだ夜なのか。 目覚めて良かった――― 目覚めてしまった――― まったく別の気持ちが同時に胸に押し寄せて、絶望なのか希望なのか分からない想いが、ひたひたと胸の内に沁み込んでくる。 浮かび上がった意識とは逆に、重い体は布団に張り付いたようで。 いっそこのまま早春の柔らかな闇に溶けて、朝靄と一緒に消えてしまえれば楽になれるのだろうか。 そんな仄暗い感情に身を任せて、もう一度瞳を閉じた時。 僕のすぐ隣から、君の寝息が聞こえてきた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!