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そっと顔を向けると、すやすやと眠る横顔。
起きている時には大抵忙しく動く唇は、今はうっすらと開いているだけ。
いつも化粧が上手に出来ないと嘆くまつげは、君が言うほど短くはないと思う。そんなに長くもないけれど。
少し下がり気味の眉。そこが好きなことを、まだ君に言ってないんだった。
僕が見ていたせいなのか、寝息が止んだ。
それから君は小さな鼻をひくひくと動かして、またすうすうと寝息を立て始める。
起きたのかと思った。
僕は、細く長く息をついた。
十七年前、これからずっと共にあると誓った。いつか訪れる永遠の別れまで。そうしてこれまで、同じ時間を一緒に歩んできた。
この世に生まれ落ちたその時から、辿り着く先はみんな同じだ。
それは命あるものには避けては通れない未来。僕にとっては、そう遠くない場所。
僕がいなくなったら、きっと君は泣くだろう。
でも、いつだって前向きで明るい君のこと。泣くだけ泣いたら、自分で立ち上がって、また歩みを進めるのだろう。僕と見た未来のその先へ。
だけどもし―――寂しくなったら、その時は戻ってきたらいい。
僕はずっとここにいる。
いつだって君のそばに。
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