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薄暗い闇の中。
ただ息を潜めて君の寝顔を見つめる。
気付いたら君の寝息が止んでいて、ふと、君の目尻から耳についた痕に気が付いた。
いつの間に、泣いたのだろう。
眠たそうにおやすみと言うまで微笑んでいた君。
いつものように眠る前のキスを交わして、君の方が先に眠りに落ちたはずなのに。
気付かなくてごめん。
声を殺して、嗚咽を堪える。
僕に気付かれないよう涙を流した君を想う。
狂おしいほど、こんなにも君が愛しい。
僕の目から静かに水滴が流れ落ちる。
喉元に込み上げる熱い塊を飲み下した時、ふいに君の手が僕の方へと伸ばされた。
迷わずその手を握ると、閉じた瞳からしずくが一つ流れ落ちた。
悔いはない。
だけどまだ。まだ生きていく。君の為に、この命ある限り。
仄暗い空が、まだ生きろと僕に言うんだ。
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