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が、
男は間もなく、腹部への強烈な痛みを感じ、今以上の闇の中を彷徨った。
一方、店内の二人組はもう盗む物はないと見切りをつけて、帰り支度に入っていた。
「なあ、こいつらどうするよ」バックを担ぎながら男は言った。
「さあ、どうするかな?」もう一人の男も準備を終えて、立ち上がった。
「いっそ、バラしちゃうか?」そう言うとナイフを抜いて、ホステスの首筋にそれを添えた。
「そうだな。運が悪かったと諦めてもらおうか」もう一人の男もナイフを抜いた。
その時!!!
突然ドアが吹き飛んで、店内の端まで飛んで、壁に当たり砕け散った。
「なんだ、今のは!!」驚いた男達は砕け散ったドアの破片を目の当たりに呆然となった。
再び、視線を人質に向けると彼らの視線は入り口の方に釘付けになっていた。
男たちは恐る恐るその視線を辿る。
すると、その先にあったのは――
「ナニモンだ!てめえ!!」男は目を見開いて叫んだ。
ドアの失くなった入り口には、黒い人影が仁王立ちになって、こちらの様子を伺っているように感じられた。
「おい…… ひょっとして…… あいつ……」男はナイフを投げ捨てて、腹に刺していた拳銃を抜き、黒い大男に銃口を向けた。
”パンッ”
乾いた銃声が鳴り響く。男はどやり顔で影を見つめた。いや、見つめていたつもりだったのだ。
そこには既に大きな影は無かった。
「おい、どこに消えやがった!!」男は蒼褪めた顔で辺りを見回した。相棒に目を移した刹那、彼は驚愕を満面に浮かべる。
そこにいたのは二人の影、一人は苦痛に顔を歪める相棒の影。もうひとつは異様な鎧にも見える青いコスチュームに身を包んだ男の姿だった。
「てめ…」と何かを言いかけた男はそこで意識を失った。
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