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ショッピングモールの中は、土曜日だけあって人で混み合っていた。涼しく快適な温度に設定されてるはずなのに蒸し暑く感じて仕舞う。なんなら、早く帰りたくなって来ていた。
「望結は、どんな服着たいの?」
「可愛いのかな…… でも、きっと似合わないよ」
「そんな事ないよ。ほら、物は試しって言うでしょ」
紗奈は、私の手をしっかりと握ってどんどん前に進み始めた。きっとこの人混みの中には、同じ学校の人が何人も居るのだろう。私は、出来るだけ人と目が合わない様に下を向きながら歩いた。
紗奈が止まったお店は、カラフルな色の服やフリルが沢山付いたスカートなど今まで見ようともしなかった洋服でいっぱいだった。紗奈が選んだ服を試着室に入って着ては脱いではして鏡を見る。二の腕や脚が出ていて落ち着かない。
「ねぇ、本当に似合っている?」
「うん! 私的には、お姉さん風より幼い方が良いと思うんだ」
「私、そんなに幼い方?」
「うん。てか、望結ってそんなに白かったけ」
「まぁ……」
休日は外に出ないし、体育の日も日焼け止めはきちんと塗っている。お母さんが今のうちから日焼け止めを塗るとシミ対策になるとか。
それからもワンピースやクール系とか着た結果。花柄のワンピースになった。首元は、レースになっていて少し大人っぽい感じを選んだ。だが、それが紗奈には背伸びした中学生に見えたらしい。ケラケラと笑っていた。私は、ぷっと頬を膨らませながら会計を済ませた。
結んだ髪を解く。伸びた前髪を横に流して耳にかける。さらに、買った服を着て家に帰った。行きは、俯きがちだった顔もしっかりと前を見て歩く事が出来た。洋服は、簡単に私の心を少しの自信で満たしてくれた。
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