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「あれ……?」
1人だけ夕食当番ではなかったのでひまになったあたしは、近くを散歩しようと外に出てみたんだけど、気がついたら今いる所がどこかわからなくなってしまっていた。
天気が良くて気持ちよくて、音楽を聴きながら歩いていたら振り返ってもいまここがどこなのかわからない。
「え、迷っちゃったかな……あれ」
急に心細くなってしまってとりあえずスマホでマップをみようとポケットに手を入れるけど、スマホが見当たらない。
「うわぁ、スマホ置いてきた……最悪」
これではマップもみれないし、連絡をとることもできない。
とりあえず戻ってみるしかないと思い、来た道を戻ってみる。
ただ無心で音楽を聴きながら歩いていたかは風景なんて大してみてないし、山道なのでどこも同じような風景でそもそもわかるわけがない。
見渡す限り同じ風景で、今回泊まっているところもホテルではなくコテージで低いので屋根が見えるわけでもない。
歩いても歩いても同じ風景が続くだけでだんだん不安になってきてしまう。
「ここどこ……?」
一体どのくらい歩いてきてしまったんだろう。
目的のコテージが全然見えてこなくて、涙が浮かんでくる。
一体何時なのかもわからない。
あたしの耳につけたイヤホンから聞こえてくる音楽だけが唯一の音で、音楽しかあたしの味方ではない感情が広がる。
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