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「え、うそ!」
「避けようはしたんだけど、気がついたら軽く唇に触れてたんだ……ファーストキスだったのに」
改めて口に出すと実感が沸いてきてしまって、恥ずかしくなってしまう。
「永人のこと嫌になった?」
「ううん、そういうのはない」
永人だからなのかわからないけど、キスをされたこともあんなに近い距離になったのも全然嫌じゃなかった。
ただどうしたらいいかわからないだけで、あんなにあたしのことを助けてくれていた永人のことを嫌いになんてなるわけがない。
「でもさ、永人だけ何も知らないのはおかしいと思う」
「え?」
「言ってきてもいい?」
「は?」
なにやら拳を握りしめている日奈子は本気のようだ。
「千花はどうせいまは永人のこと見れるわけないだろうし、ここにいなよ。授業はなんとでもなるし」
「いいの?」
「だって隣に永人がいるとか気になって授業どころじゃないでしょ」
「……そうだね」
たしかに永人が隣にいるってだけで、隣が気になって先生の話なんて聞こえなさそう。
「じゃあ行ってくる!」
「う、うん。ありがとう」
バタバタっと日奈子が走って中庭からでていく。
1人になるとどっと不安が押し寄せてきてしまう。
永人はキスのことを知ったらどう思うのかな。
好きな人としたはずなのに相手があたしでガッカリしちゃうかな。
それとも責任感のつよい永人のことだか気にしちゃうかな。
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