シベリアンハスキー

5/13
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
交流会はキャンプ場での焼き肉大会。 大会って……何だよ、それ。 茂木ぃ、そのネーミングセンス大丈夫か、営業として。 心の中で悪態をつきながら今回の幹事の茂木を見つけて軽く睨む。 あ、やばい。 目が合って慌てて私は視線を泳がせた。 それなのに口元だけニヤけた茂木がこちらに向かってやって来た。 「よお。良かったな、今日晴れて」 相変わらずの低い声。 声だけならイケメンなのにもったいない。 「ハイハイすみませんね。どうせ私は雨女ですよ」 「だから、今回の幹事俺と交代したんだろ。俺晴れ男だし。この後も雨降らすなよ。みんな楽しみにしてるんだから」 わざわざそんな事言いに来るほど幹事は暇か。 こんな悪人顔が晴れ男とか、本当に納得いかない。 「そうですね。本気出さないように気を付けます」 「ああ、頼む」 幼い子にするみたいに勝手に人の頭を撫でていく。 どうせチビですよ。 本当に腹が立つ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!