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おとぎ話みたいな光景
「金の糸で織ったドレスよりも、ガラスの靴よりもキャンディみたいなダイヤモンドが付いた指輪よりも…」
言葉を詰まらせながら俺を見上げる日葵の髪を撫でた。
ミルクティーみたいな色をした髪がそっと揺れて、腕の中にいる彼女がしゃくりをあげた。
彼女が首元から取り出した細い銀色に光るチェーンには、あの日渡したピンクゴールドのリングに黄色い宝石を嵌めた指輪がぶら下がっている。
「この指輪が世界でいちばん…綺麗で素敵だもん…」
明るい茶色の瞳からぽろぽろと大粒の涙が零れたのを指で拭って、彼女の顎をそっと持ち上げた。
目を閉じた日葵の白くて細い喉元が上下する。
俺は、桜の花びらみたいな彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた。
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