32人が本棚に入れています
本棚に追加
序章
「フンフンフーン♪ フンフンフーン♪」
機嫌良く鼻歌を歌いながら、人の形をした肉を大きな出刃包丁で切り刻んでいく。
肉塊から血生臭いにおいが調理室全体に広まった。鼻をつまむほどの異臭だ。
「フンフンフーン♪ フン、フン、フーン♪」
人の形をした肉をリズムに乗せながら切っていく。一口サイズに切り刻んだ肉は、ボウルの中に乱雑に入れた。
「あ、そうだった! お醤油、お醤油っと〜♪」
変な鼻歌を歌いながら、調理台から離れて、調味料が入ってある棚の中から目当ての醤油を取り出し調理台に戻る。
「フンフンフーン♪ フンフンフーン♪」
ボウルの中に入っている肉に醤油をかけていく。入れすぎでは? と思うくらい醤油漬けにしていく。
「よし!」
醤油漬けにされた肉を素手で揉んだ。もちろん鼻歌を歌いながらだ。
「フンフンフーン♪ フンフンフーン♪」
グチャグチャッと、生々しい音を立てながら肉を醤油に滲みこませる。
ある程度肉が醤油と絡んだら、今度はガスコンロに火を点け、ガスコンロの上にフライパンを置いて、フライパンの中に油を注いだ。
「フンフンフーン♪ 」
フライパンの中に先ほどの肉を投下させた。
ジュワ〜、異臭を放っていた肉から芳ばしい香りが漂い出す。
菜箸で肉を炒める。
「フンフンフーン♪ あとは〜♪」
ガスコンロの近くに置いてあった塩コショウを手に取り、肉に少々かけた。
最後は一気に火力を強めて焦げ目を付けたら完成。
完成された肉炒めを大皿に盛り付けする。
これだけじゃ色味がないと思い、野菜室から干からびたにんじんを輪切りにし備え付けた。
「ふふっ……。今日はどんな顔で食べてくれるかな? ふふふっ……楽しみだなぁ♪」
最初のコメントを投稿しよう!