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調理室を出ると、すぐ左側には地下へと続く扉がある。作った料理を片手で持ち扉を開けた。
少し長い階段を降りていくと、厳重で重たげな扉が現れた。
片手で料理を持ち、もう片方の手でズボンのポケットに入っている鍵を取り出し開けた。
ギィイイッと、錆びついた音を鳴らしながらドアが開いた。
扉の先は頼りない灯りが燈している。中に入ると、殺風景で冷たいコンクリートの床しかない部屋が広がっていた。
運んできた料理を冷たいコンクリートの床に置く。
「さてと……」
部屋の片隅に目をやると、三人の子どもが身を寄せ合って、こちらに睨みを利かせている。
こちらとしては、そんな睨みは痛くも痒くもないがな。
「おい、飯だぞ! 今日は野菜付きだから、美味しいと思うぞ?」
そう声を大にして言うも、三人の子どもは睨みつけているままだ。
「早く食べないと冷めちまうぞ?」
「…………っ」
「ん? なんだ?」
「せよ…………。オレの妹を返せって言ってんだよ! クソ野郎!!」
元気な声を上げる男の子が、怒りと恐怖を帯びた目つきで声を荒上げた。
「いもうと?」
「そうだよ! オレの妹を連れてったんだろうが!? さっき!」
この男の子は何を言ってるんだ?ーーー
「キミのいもうとなら目の前にいるぞ?」
「ふざけるな! ただの肉だろ?!」
男の子は、“特製肉炒め”に指をさしてくる。
美味しそうな肉なのに。
「だからーーーいもうとの肉、だぞ?」
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