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第一節 ヒトリ
まるでアクムだと。誰かが言った。
どうしてそう言ったのか分からない。
どうしようもなかったのだろう。
何か方法はなかったのだろうか。
遠くの方で声がするけれど、それもやはりボンヤリとしか聞こえない。
暫くすると、急に冷静になっていく自分がいた。先程までの緊張が嘘のようだ。
正面に立つのは、知らぬ男。立っているだけでも印象に残る特徴的な姿。彼はニヤニヤと笑みを浮かべて言葉を待っている。
「頼みが……あるんです」
渇いた喉は、それでも発声することを許した。
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