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「ヒイッ!う、動いた…ッ?!」
思わず声に出してしまって口を塞ぐ。
(とりあえず生きてた…。良かった…!)
これで事件に発展する恐れはなくなった。
「ん、んん……」
様子を窺っていると、もそもそと動き始めたせいか、その人が着ていたパーカーの帽子がずるりとずれて、髪と顔が露わになる。
(ん??)
それは、明るめな茶髪のショートヘアが似合う色白なかわいい女の子だった。
「……すぅ…」
身体を縮こめて穏やかな寝息を立てて眠るその姿は、まるで猫のよう。
その愛らしさから思わずじーっと見つめていたことにハッと我に返り、慌ててその人に声を掛ける。
「あ、あのぅ…?聞こえますか…??」
私の声が届いたのか、ゆるゆるとその瞼が動く。
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