Episode5.Distance

6/11
前へ
/218ページ
次へ
至近距離で見つめ合ってたせいか、ドキドキと胸の中が騒ぎ出す。 「っ、ごはん作らなきゃ…」 「目逸らさないでこっち向いてよ」 目を逸らすために向き直るつもりが彼に阻止され、再び彼と視線が絡む。 「おねーさん、子供扱いしないで。もっと俺の事よく見て。それで、俺の事もっと知ってよ」 悲しげな瞳が揺らぐ。 それを見て、心がズキンと音を立てた。 ──なんでこんなに必死に知って欲しがるの。 私たちはそういう関係でもないじゃない。 私は琉架くんを助けただけの何でもない関係なのに。 自分を知って欲しいという彼の意図が分からない。 第一、私にはハルがいるのに。
/218ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加