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彼女の部屋を出て、アパートの階段ですれ違いざまに人と軽くぶつかった。
「っ…すいません…」
「いや、こっちこそごめ─…って、琉架?」
そこにはかっちりスーツを着た兄の姿。
「…何、兄貴このアパートに用?」
「あぁ、彼女がここに住んでるんだよ。ちょうど仕事終わったから、久々に彼女ん家に顔出そうと思ってさ」
「彼女…」
「そういうお前こそ、このアパートで何してんだ?」
兄貴に尋ねられ、マフラーに顔半分を埋める。
「…ちょっと、会いたい人がいて…」
「ふーん、彼女か?同じアパートなんて奇遇だな。あ、そうだ!お前、ちゃんと家帰れよ?お前が家に帰らないから、親父心配してるぞ?」
またか。
いつもこの人はこうだ。
これだから、この人には会いたくなかった。
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