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その様子がよほど面白かったのか、彼がクスクスと笑いだした。
「やだなぁ、おねーさん。さっき俺の事、拾ってくれたでしょ?」
「ひ、拾っ…?!てないよ!?何言ってるの、私は女の子を助けただけで…!」
「だからさぁ…」
男の子が溜息をつきながら私の方へと歩み寄ってくる。
「その勘違いしてる『女の子』って、俺の事だから。ほら、髪とか目とかさっき見たまんまでしょ?」
自分の髪と目を指さして笑う。
「でもまぁ、華奢だし背もそんな高くないから、初対面の人はみーんな勘違いしてくれるけど。俺、一応男だから」
にこりと妖艶に微笑みながら、じりじりと距離を詰めてくる。
「…ち、近付かないで…!」
隔てるようにしておたまを差し出すものの、そんな物が大したものになるわけでもなく。
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