Episode1.雨の中の拾い物

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その様子がよほど面白かったのか、彼がクスクスと笑いだした。 「やだなぁ、おねーさん。さっき俺の事、拾ってくれたでしょ?」 「ひ、拾っ…?!てないよ!?何言ってるの、私は女の子を助けただけで…!」 「だからさぁ…」 男の子が溜息をつきながら私の方へと歩み寄ってくる。 「その勘違いしてる『女の子』って、俺の事だから。ほら、髪とか目とかさっき見たまんまでしょ?」 自分の髪と目を指さして笑う。 「でもまぁ、華奢だし背もそんな高くないから、初対面の人はみーんな勘違いしてくれるけど。俺、一応男だから」 にこりと妖艶に微笑みながら、じりじりと距離を詰めてくる。 「…ち、近付かないで…!」 隔てるようにしておたまを差し出すものの、そんな物が大したものになるわけでもなく。
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