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次の日、グランは書庫に案内してくれた。
「マルガリータ、ここが私の書庫だよ」
「わぁ、すごい本がいっぱい…」
「これは全部魔術書なんだ。勝手に入っていいから、好きな本を読みなさい」
「わかった!ありがとうグラン!」
マルガリータは目の前にある膨大な書物の中からいくつかを抱えて部屋に戻り、
朝も夜も昼も関係なく毎日読み漁った。
自分の過去について知るために。
そこそこの上等魔法なら使えるようになってきた頃、
グランが亡くなった。
グランは最期に言った。
「マルガリータ、実は最後に頼みたいことがある」
「最後だなんて言わないでよ!」
「王都から追放された少女が東の国へと向かっている。
その護衛を君に頼みたい。
私の最後のお願いだ、どうか聞いてくれ」
「わかった、わかったわ、だから死なないで!」
「マルガリータ…人はいつか死ぬものなのだよ…
それとお前にひとつだけ隠していたことがある。
私はお前の記憶を…」
そこまで。
グランは亡くなってしまった。
マルガリータはまた一人になってしまった。
このときのマルガリータは16歳。
マルガリータは以前試そうとしていた記憶を取り戻す呪文を唱えた。
「ルスタテルトルスタテルト、モレーニ!」
術式は成功した。魔法はマルガリータに降り注ぐ。
マルガリータの体が光に包まれていく中、
その中で様々な記憶が自分の中に刻まれていった。
「こんなに大切なことを私は忘れていたのね…
早く東に行かなくちゃ…!」
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