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私はグランから魔法を使うための物をもらった。
大きなローブ、小さな枝のような杖。それだけ。
「ねぇグラン、これだけで魔法使いになれるの?」
「魔法使いというのはね、呪文を覚えることが大切なんだ。
そうだ、この本を貸してあげよう。色々なことが書いてあるよ」
分厚い本を渡された。
「わかった、ありがとう。これを読んで少し勉強するわ!」
「ようし、いい子だな」
そう言ってグランは私の頭をわしわしとなでた。
マルガリータは早速本を読んでみた。
色々なことが書いてある。
カエルをうさぎに変える魔法、
石をパンに変える魔法、
絨毯を飛べるようにする魔法…などなど。
マルガリータは本にかじりつくようにして毎日読んだ。
ある日、マルガリータはグランに言った。
「ねぇグラン、あの本の呪文はもう全部覚えちゃったわ」
「おぉ、すごい。さすが私の子だな」
「それでね、魔法を実際に使ってみたくて…」
「ようし、いいだろう。どれを使いたいんだ?」
「これがやってみたいの」
マルガリータが指を指したページには、
過去の記憶を呼び戻す呪文が書かれていた。
「マルガリータ、これは高等魔法だから君にはまだ使えないよ。
まずはカエルから練習だな」
「そうなの?がっかりしちゃった。
私、過去の記憶がなんにも思い出せないの。
だからそれがわかれば何か役に立つかなって思ったの」
「大丈夫、これから覚えて行けばいい話さ。
さ、カエルを用意したからやってごらん」
目の前にはカエル。
私は呪文を唱えた。
「アルガータ・イハリ・ヨリータ!」
カエルはうさぎに変身した。
「見てグラン!成功したわ!」
「一発で成功とはすごいな!よくやったマルガリータ」
グランは満面の笑みで私を抱きしめてくれた。
「じゃあもう少し難しい魔法を使ってみるかい?」
「うん!やってみたい!」
「これは中等魔法といってね、
これが使えれば正式に魔法使いと名乗ることができるんだ」
「そうなの?私も魔法使いになりたい!」
「そうだろうそうだろう、やってみなさい」
私は呪文を唱えた。
「フライデン・ド・スパータ!」
結果は…失敗。
石はパンにはならなかった。
「グラン、私失敗しちゃった」
「何を言っているんだ、難しいんだから当たり前だろう。
今日はこれができるまでずっとここにいるんだな」
グランは少し怒ったような様子だった。
私は何時間も何時間も練習した。
「フライデン・ド・スパータ!」
「フライデン・ド・スパータ!」
「フライデン・ド・スパータ!」
何度やってもパンにはならない。
諦めそうになった時、ジョーがやってきた。
「よう、お前なにやってんだ?」
「魔法の練習よ。難しくてできないの」
「ふーん、俺は魔法なんて使えないけどな。
どうしたら成功するんだ?」
「それがわかんないから困ってるんじゃない!」
私は声を張り上げた。
ジョーが一瞬びっくりした顔をした。
「ごめんなさい、あなたは何も悪くないのに」
「大丈夫さ、それより俺にも見せてくれよ、魔法ってやつを」
マルガリータは大きな声で叫んだ。
「フライデン・ド・スパータ!」
すると目の前の石がパンに変わった。
「うわっ、すげぇや!」
「やった!やったわ!成功よジョー!」
「これでやっとグランのところに行けるわ!ありがとうジョー!」
そういってジョーにハグをした。
ジョーは照れながらもそれを受け入れた。
家に帰ると開口一番にこう言った。
「グラン、私できたわ!魔法が成功したのよ!」
「おぉ、さすがじゃないか!マルガリータならできると思っていたよ。
さ、疲れただろう。夜ごはんを一緒に食べよう」
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