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「その顔、堪らんわ」
奏多さんに触れられたところに熱さを感じ、顔もポーっとしている。そんな私の姿が更に奏多さんに火をつけ、結局最後まで止まらなかった。
「なぁ桜、俺も初めて知ったんやけど……多分俺って溺愛するタイプみたいや。これから覚悟しててな」
ベッドで横になっていると、奏多さんは私の方を向き頬杖ついて満面の笑みを見せてそう言った。
結婚前提の付き合いを認めて貰った私達の日常はというと、さほど変わってはいない。
奏多さんは本格的に父の元で家元になる為の修行を始める。そして光君も華月流に弟子入りし、茶道の技術を磨きに時々華月家に来るようになった。
私はというと相変わらず呉服屋で着付師の仕事を続けている。
蒼志にも全て話をしたら『良かったじゃん』と祝福してくれたけど、時折用事で呉服屋に来る奏多さんとはバチバチモードですっかり犬猿の仲になっている。
最初はこの先大丈夫かな?と心配したけど、何だか二人とも楽しんでるようにも見えるし気にしなくていいか。
少し前までは結婚までに許されるなら好きな人と一度だけ恋を……と願っていたのに、その一度だけの恋がずっと続く事になるなんて、人生何が起きるか分からない。
幸せな日常に感謝しながら、これからもずっと奏多さんの側に居れますように……私は強くそう願った。
ー END ー
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