恋の結末

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「光、ありがとな」 そう言いながら奏多さんも笑顔を返す。私は二人の絆を目の当たりにして兄弟がいるのを羨ましく思った。 「まぁこればっかりは親父がどう判断するかだけどな」 光君はそう言いながら、奏多さんと一緒に父親の顔を見る。二人に見られて困惑しているのか、奏多さんの父親は一回咳払いをして話始めた。 「全く、お前ら好き勝手言いよるわ。なぁ?」 「ホンマやわ。でも、奏多の本音が聞けて良かったんちゃう?」 奏多さんの両親はお互い顔を見合わせて笑っている。それに比べて、私の両親は険しい表情をしていた。 「奏多」 父が声をかけるとまた場の空気がピリッとしたものに変わる。奏多さんも正座したまま父の方を向き背筋を伸ばす。 「お前の桜を想う気持ちはよく分かった。確かに桜が華月流の跡を継いでも問題はないだろう。しかし、婿養子をとる約束をなかった事には出来ない」 「どうしてです?」 父の言葉に奏多さんは素早く反応する。 「決まっているだろう?目の前に跡継ぎに相応しい人物がいるではないか」 そう言って父の険しい表情から笑みが溢れた。思いがけない言葉に奏多さんはキョトンとしている。 「それにしても奏多にズバッと言って欲しかったな。桜と結婚して華月流の次期家元には僕がなります……とな」 「僕が……華月流の次期家元に?」 奏多さんの表情はまだ呆然としている。
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