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「おい一ノ瀬、お前の大事な息子を華月家で育ててもいいか?」
父はニカっと笑い奏多さんの父親に向かって声をかける。
「奏多にその覚悟があるのなら、一ノ瀬家は構わんよ。どうだ奏多、華月流の次期家元……引き受けるんか?」
奏多さんは力強い目力でしっかりと父を見て笑みを浮かべ、両手を前につき頭を下げた。
「はい、華月流次期家元としての修行つけて下さい。お願いします」
それからは場の空気も和み、堅苦しい話は辞めて楽しく談笑を始めた。奏多さんの両親はこのまま華月家に泊まっていくようだ。
光君は明日大学があるからと早々に帰った。帰り際、玄関まで見送りに行くと私と奏多さんに『良かったな』と言ってくれたのが嬉しかった。
夜になると、今度は宴会が始まる。始めは両親'sの話に付き合っていたけど、奏多さんがコソッと『抜け出そう』と耳打ちして、私達は宴会から抜け出し取り敢えず私の部屋へ移動した。
「やっと二人になれたな」
奏多さんは嬉しそうに私を見て微笑む。私も『そうですね』と言って微笑み返した。
「女性の部屋に入るのって何か緊張するな。あっ座ってもええかな?」
「いえ、座るのは少し待って下さい」
私はそう言って奏多さんに抱きついた。
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