ハズレお見合い

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この華月家は代々引き継がれている茶道の名家で、裏千家華月流と言えば茶道界ではトップクラスだ。 私はそんな華月家の一人娘で、小さな頃から身近で茶道を(たしな)んできた。だから日本伝統の良さを、そして華月の名を引き継がなければいけないと思っている。 ただ華月家は考えがまだ古く、今は女性の家元も増えてはいるが、やっぱり華月流の家元は男が良いということで、一人娘の私の夫となる方が次の華月流家元となる予定だ。 もちろん私と結婚したからといって簡単に家元になれる訳ではない。早めに結婚して夫となる方は家元の修行に入らなくてはいけない。だから期限を決めて条件に合う男性とお見合いを続けていた。 一年以内に次期家元候補……つまり華月の名を継いでくれる婿養子を探す事。それが華月流家元の一人娘の私に課せられた課題である。 有り難いのかは分からないが、お見合いの話は次から次へと舞い込んでくる。今度こそとお見合いをし続けるが中々『当たり』はない。全て私からお断りをしている。 期限の一年なんてあっという間……だから贅沢なんて言ってられないけど、せめて私が好きになれそうな人と結婚したい……ギリギリまで運命的な出会いを信じたい、そう思っていた。 ただタイムリミットの一年を過ぎた場合、私は父の連れてくる相手と問答無用で結婚する……という約束になっている。 まぁそうなったらそうなったで、運命として受け入れるけどね。
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