追憶

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最初に死んでしまいたいと思い始めたのは、大学受験の失敗続きに苛まれていた頃の事だったかしらねぇ………。 その頃のボクの将来の夢………。 それは、俳優になる事だったかしらねぇ。何でも願いが叶うのなら、ハリウッド・スターになる事だったりして………。 でも、ついついうっかりと、そんな事を当時の両親に話そうものなら………。 「………そんな夢みたいな事ばかり言ってるんじゃありません!」 「………俳優なんてモノはなぁ、昔は河原乞食と呼ばれていたんだぞ。そんな理由で上京するだなんて、絶対に赦さんからな!!」 当時のボクの実家は、老舗の銭湯稼業を営んでいてね。ボクには2人の兄がいたのだけれど、1番上の兄は先天性の水頭症が原因で幼少の頃に、儚くも他界してしまっており、2番目の兄は、交通事故で死亡。 結局、残されたボクだけが、跡取りとして銭湯稼業を継がなければならないのだけれど、ボクには全く興味が無くてね。
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