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………丁度良いや。その駅のホームをボクの墓場にしてしまおうかしら。その日は12月22日。何を隠そう、その日は憎らしくもボクの誕生日。後3日経てば、クリスマスだっけ?
クリスマス………。クリスマス・イヴ………。
………クリスマスって、何!?
嘗て、イスラエルと呼ばれる国にあるナザレと言う町に、イエスと名付けられたユダヤ人がこの世に生を受けた。
当時のイスラエル国では、嘗てのこの国と同じく姓と言うモノが無く、地名や親の名を借りて呼ばれていた様である。イエスは、養父がヨセフと言う名であるが故に、即ち、イエスは『ナザレのイエス』であるとか『ヨセフの息子イエス』と呼ばれていた様である。
つまり、イエスは自分自身の存在価値を見出だしたかったのかも知れない。そして、この世の旅をする事で教えと言うモノを知り、それが現在のキリスト教が生まれる先駆けとなったのだろう。
それはそれでおめでたい話なのかも知れないのだろうけれど、ボクには関り合いの無い話であり、ボクは今迄に1度も誕生日を祝って貰えた事も無ければ、祝って欲しいと願った事も無い。
ボクには今迄に幾度と無く死んでしまいたいと思ってしまった事はあるけれども、生まれて来て良かったと仕合わせを感じた事は1度も無い。この日をボクの命日にしよう………。
………ボクと言う人間は、本当は生まれて来なかった事にしよう。そう思いながら、僕はこれから来るべき惨事を夢見ながら、高円寺駅のホームで訪れる電車を待ち続けていた。
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