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………嗚呼。
今更、生まれ故郷に帰りたくもないし、上京する口実もあやふやになりそうだし、ボクには今と言う時間が最早、生きていると言う事よりも、生き残っていると言うか、死に損なっているかの様に感じられてしまっていた。
ボクは、高円寺の町並みを、独りでトボトボと歩き続けていた。ふと、目の前を見ると、煙草の自動販売機がある。ボクは其処でラーク・マイルドを1箱買ってみた。
年の頃もそうなのだが、ボクには喫煙の習慣も無ければ喫煙すると言う事にさえ興味が無かったのだけれども、もしも、何時もと違う雰囲気を醸し出せば、何かの運命が変わるのではないかしらと言うスピリチュアルな妄想に取り付かれてしまっての行動の訳であり………。
ところが、その時、運命との出会いは訪れた。
ふと、自動販売機の傍らに視線を反らすと、1枚のポスターが壁に貼り付けられており………。
『 歌舞伎町ファンタジスタ 』
……………… 公開オーディション
主催者 : 大松事務所
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