1

2/7
前へ
/9ページ
次へ
「東京大学で客員教授を務める事になったから、琥珀くんに会えるかも。真珠、来るかい。娘だから講義のアシストをお願いしても問題無いだろ。今では私の片腕として優秀な建築士として活躍をしてる」 琥珀くんが通ってる東京大学。 日本の教育システムについてはよくわからないけど、KADK(デンマーク王立建築デザインアカデミー)と同列らしい。 KADK(デンマーク王立建築デザインアカデミー)でMaster/Candidatus、修士号までとってるから進学する必要はないと父に言われた。 8ヶ月ぶりに琥珀くんに会える。 かもしれないだけど、父の講義が建築学科の3年生の必須教科だから受講しないわけがない。 本郷三丁目にあるキャンバスに入る。 赤門を目の前に固まる。 日本独特の建築様式、切妻造りの薬医門で、左右に唐破風の番所(見張り番の詰所)が配置されていて、屋根最上部の棟瓦には徳川将軍家の三つ葉葵の紋、軒の丸瓦には前田家の加賀梅鉢の紋があるとiPhoneのSafariを立ち上げ検索したらそう書いてあり、北欧デザインとかけ離れた造りに魅入ってしまった。 「真珠はこれまで、日本の歴史ある建築物にはあまり触れてないからな。今度、京都と奈良に行こうか。寺院巡りをしよう」 「うん。歴史ある寺院や街並みを見てみたい!!」 立ち止まり、iPhoneで日本の古い建築物を検索し続ける私に父はそう声をかけてくれた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

303人が本棚に入れています
本棚に追加