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「神様っていると思う?」
唐突の質問に僕は思わず聞き返してしまった。
「私が神様って言ったら驚く?」
「まあ、それは驚くけど? 彩月は神様なの?」
「そうだよ」
たまに不思議な事を言う彼女。今回もそんな感じかと思ったが、真剣な目をした彼女に違和感がある。
「じゃあなんで神様がこんなところに?」
「それは仕事だからね。私はここで暮らすのが仕事。けどもう限界みたい」
今にも涙を流しそうな彼女。
下校時刻まであと数分。
先生に怒られると厄介なので一緒に帰りながら話を聞くことに。
「最近、いじめが原因の自殺が多いじゃない?」
「そうだね。確か隣の県の学校がニュースになっていたね。」
「輪廻とか、転生とか、神とか信じないならそれでいい。けれど人を傷つけると罰が当たる。それを知ってて欲しいの。」
「やっぱり本当に神様なの?」
「そう。私は神様だよ。」
「そうなんだ。」
「目に見えるものだけを信じて欲しくない。私はもう……」
悲しそうに微笑む彼女のことを見て本当に神様なんだと思った。
最後の言葉はあまりにも小さな声だったので分からなかったが、『死にたい』とか『戻りたい』とかなんだと思う。
神様でも神様じゃなくても彼女は生きている。
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