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「全く、せっかく丈夫に、丁寧に作ってやったのに、人を殺すのが怖くなったとでも言うつもりなんだろうか? 迷惑な話だ、作り手の私の責任になる。聞けば、部屋付きの雑役婦にうつつを抜かしているとか。とんでもなく愚かしい」
「ただね、あれはね、失敗作ではないんだですよ。むしろ傑作と言った方がいい。あれは私が心血注いだ研究を駆使して作った、まがいものの天性、擬天性なんだけれど、―――実は擬天性はどれも精神が脆くてね、―――脆くてというのは、そもそもヒトとしての精神を保てないという意味なんですけどね。体力や身体能力は殆ど生まれつきの天性に迫るほどだけれど―――抑制剤をドバドバ投与して漸く人の言うことを聞けるようになる。抑制剤がなければただの獣だ。ただただ危険なだけ。なのにあれは最初から聞き分けが良くてね、貴重な成功例だった。間違いなくね。ただあまりに冷酷だから感情までは保持させてやれなかったと思っていたけれど、とうとう本当に情欲に溺れて腑抜けたのなら、人の心さえちゃんと残したまま、私は人間の作り変えに成功したわけだ。あれはもともと、多少体が強いだけの軍人だったのに、今や超一級の暗殺者だ」
「まあ、とはいえ、色に狂って使い物にならなくなっては無価値だから。
おまえの仕事ですよ。分かってもらえますね?」
「あれの記憶をさらにして、もう一度空っぽの人間に戻しなさい。
いいですか、決して壊してはいけませんよ」
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