判決を言い渡す

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「私、今日を限りに辞めさせて頂きます!!」 「おお、そうか……お前もやっと……て? え?何? 何て言ったぁ!」  疲れきっていたのも忘れ、バネじかけのように身体が跳ね起きる。 「や・め・る!って言ったんですぅぅ!」  ルナが『ベー!』と舌を出す。 「何でだよ! この流れでそれは可怪しいだろうが!」 「冗談じゃないですぅ! 鬼主法律事務所(こんなところ)にいたら、心臓と肝臓がいくつあっても足りません! もう、今日と言う今日は言わせて頂きます! 今日を限りに……」 「やかましい! そう簡単に辞められるとでも思ったか?! そう言われてもいいように、ちゃんと雇用契約書にはだなぁ……」 「そんなの違法に決まってます! 私には私の人生というものが……」  ……激しく罵り合う二人の外で、夜が明ける。  太陽の光が、事務所の中を暖かく照らし始めていた。 完
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