レトルトな日常

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ぼくが目を覚ますと母さんはいなかった。 「遅くなるから、レトルトあるから好きなのを食べてください。」 テーブルにはメモ置いてあった。 「はぁ。」ぼくはため息をついた。 「どれにしよう」 最近のレトルトは何でもある。 冷えたご飯を電子レンジに入れ、棚からレトルトカレーを2つとお気に入りのレトルトをお湯で温める。 白い器にご飯とカレーをよそって出来上がりだ。 お気に入りのレトルトがちょうどいい具合に温まってきた。 封を開けると、レトルト母さんの出来上がりだ。 「お待たせ、さあ夕飯にしましょう」 レトルト母さんは、いつも優しく微笑んでくれる。 「お母さん、今日体育で逆立ちしだんだよ。」 「あら、すごいじゃない。がんばったのね。 あ!口にご飯が付いているわよ」 レトルト母さんは、他愛のない話を楽しそうに聞いてくれる。 楽しい夕食の時間は過ぎた。 「あら、もうこんな時間ね!ご馳走様しましょう。」 「え!やだ冷蔵庫にアイスあるからそれ食べてから…」 「こんな時間にアイスを食べたらお腹壊しちゃうから、今日はやめましょうね。」レトルト母さんはぼくの頭をなでながら言った。 「御馳走様でした。」二人で声を合わせて言った。夕食の時間は終わってしまった。 「後かたずけするわね。」そういうと、レトルト母さんはゴミ箱に入っていった。 今どきの食卓の光景は、こんなものだ。
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