運命の人

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“私も同じです!びっくりしてます! 衣傘クリス” そう打つのがいっぱいいっぱいだった。 何だろう、この胸のドキドキは。 まるで100メートルを全力疾走した後みたいな。 絵梨の呼吸が荒くなった。 “本当ですか!? やはりあの読後感は、たまらないですよね。読んだ後、しばらく呆然としてしまいました。 ぽあろ” 同じだ。 絵梨はきゅっと胸元を掴んだ。 この、くすぐったいような、締め付けられるような感情の名前は……。 それから時間を忘れて、今まで読んだミステリー作品や作家について会話を交わした。 絵梨と“ぽあろ”は、驚くほどに似通っていた。 本棚の中身が全く同じような感覚に襲われるくらい。 朝日が差し込んできた頃、絵梨はひとつの考えに辿り着いていた。 一度、直接会わなくちゃ。 “もし差支えなければ、今度、お会いしませんか? ぽあろ” だから、その返信が来た時、絵梨は悟った。 この人は、私の運命の人だ。 “是非、お会いしたいです。東京でも良いですか? 衣傘クリス”
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