降りやまない雨の日に・・・。

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降りやまない雨の日に・・・。

今日は、せっかくの日曜日なのにさっきから雨が降り続いている。テレビの天気予報からは、今日いっぱい降り続くでしょう、と無機質な声が流れている。 ふぅ・・・。今日は、映画でも観に行こうと思ってたんだけど、この雨じゃな・・・ま、一緒に行ってくれる人もいないし。とりあえず、久しぶりに、テルテル坊主でも作ってみるか(笑) 私は、ガーゼハンカチを取り出し、昔から大切に持っていたスーパーボールを中に詰めて、くるくるくる、このあいだ買ってきたケーキの箱に付いていた赤いリボンを首に巻いて。マジックで、目と鼻、口を書いた。 「ちょっと不細工になっちゃったな。でも、愛敬あるよね(笑)」 カーテンレールにつけると、くるくる回った。 「あはは、可愛い、可愛い。ダンスしているみたい」 大好きな、「いきものがかり」の「1・2・3~恋がはじまる」のCDをかけながら、それに合わせてダンスするように右へ左へ回転するテルテル坊主を不思議な気持ちで見ていると・・・大雨に濡れながら、我が家に向かって駆けてくる若い男性がいる・・・なぁと思ってみていると、 ピンポーン 呼び鈴が鳴った。びしょ濡れの男性が口を開いた。 「すみません・・・突然で申し訳ないのですが、雨宿りさせていただけないでしょうか。急に降ってきて、この先の映画館で映画を観る予定だったのですが、ちょっと無理みたいだ」 私は、その男性の無邪気な笑顔にぽ~っとなった。この人は・・・。 「どうぞ・・・あっ、よかったら、シャワー使ってください。父のでよかったら、着替えも貸します」 「いいんですか?それはちょっと・・・見ず知らずの僕に・・・いいのかな?」 「見ず知らず、じゃありません。3年生の佐伯先輩ですよね?いつも野球部、応援してます」 「君も星陵(せいりょう)高校?」 「はい。1年B組の曽根香織(そね かおり)です」 「僕は、3-Dの佐伯陵介(さえき りょうすけ)。僕の方からは、初めまして、だな」 「先輩、そんなことはいいですから、早くシャワーを。風邪、ひいちゃいますよ」 「わるいけど、じゃあ」 「着替え、ここに置いときます」 シャワーの音と、雨の音と、「いきものがかり」の歌声が私をどきどきさせていた。あのテルテル坊主が先輩をひきよせてくれたのかしら。雨、どうか、このまま降りやまないで。どうか、2人のあいだに恋が始まりますように。 【The End】
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