星々の下で川を見る

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 投げやりな思いを抱え、夜空を仰いでまた酎ハイを傾けた。  深い濃紺に散りばめられた星屑たちが、キラリと輝きを放っている。  死んだ方が楽かもしれないと思う私の動機なんて、きっとちっぽけでとるに足りないのかもしれない。  仕事と恋人と親友を一度に失くした事なんて、世の中を見渡すと多分よくある事だ。  同じ部署で働く上司であり、且つ恋人の彼が、私の同僚で親友の彼女に浮気していたなんて、きっとこの広い世界ではよくある不幸なんだ。  残業中にひと目につかない一室で、彼と彼女がいちゃついていたのを偶然見てしまったのだって、多分私の運が悪いからだ。  目撃を二人に気付かれたからって、明日に退職願いを出そうと思ったのも完全に自己都合。  こんな災難は、言ってみれば事故みたいなものだ。  350の酎ハイを空き缶に変え、私はそばに置いたビニール袋からもう1缶を取り出した。  思えば、私の人生は災難続きだ。  高校生の頃は、恋を知った瞬間に失恋を経験した。  ずっとそばにいた幼馴染みの男の子に、いつの間にか彼女が出来ていて、その時初めて彼を好きだった事と失恋した事を自覚した。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加