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後半【女性視点】
「あらあら…気を失ってしまうなんて初心なのね。まあ、その方が都合良いかしら。起きたら夢だったと思ってくれることでしょうし。」
女性はAをベンチに横たわらせると隣のバス停を目指して歩き出した。
「会えて良かったわ。来年はもう会えないだろうし…」
女はそのか細い身体をさすりながら舗装された道を進む。
「自分の最期を思いながらバスに揺られている時、あのバス停であなたを見つけた。気持ちを伝えたいと思った。何度も何度もあなたを見つけようとしていたわ。バス停にいた人という手掛かりしかなかったから何度もバスに乗った。諦めかけていたけど、やっと出会えた。これ以上は望めないし望まない。」
・・・・・・・・・・・・・・・
雨は未だに降り続いていたものの、かすかな日差しが刺していた。これが俗に言う狐の嫁入りという現象だろうか。綺麗な女性に告白されたという夢の余韻を楽しみながらAは兄と帰路を急いだ。
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