人種差別

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人種差別

 今日は歴史のお勉強をします。  その昔、この世界には人種差別というものがありました。  今では嘘みたいな話ですが、ある一部の人々は肌の色で優劣をつけていたのです。  ホワイトがブラックやイエローを差別する。そんなことが社会問題となり、時に暴動へと発展することもありました。  しかし、そんな中、我々人類には大きな変化が起こります。それまで、大きく分けてせいぜい3種類ほどしかなかった肌の色が、無数に増え始めたのです。  レッド、グリーン、ブルー、ゴールドにシルバー……同じ系統の色でも細かい分類がどんどん増え、とうとう同じ肌の色を探す方が難しいこととさえなりました。  すると、どうでしょう。  それまで、人種差別をしていた者達は何も言わなくなったのです。それもそのはず。最早自分以外の肌色を差別することは、全人類を差別することになるのです。同じである者がいなくなり、一人になった途端、彼らは偉くなくなったのです。いえ、元々誰一人偉くなどなかったことに気付いたのです。  それからは皆さんの知っている通り、この世界から人種差別というものがなくなりました。  はい、モスグリーン君、なんですか?  「では今のほうが平和になったのですか」って?  そこは難しいところですね。  何にせよ、誰かは自分と同じであるというのは人々に安心をもたらしていたようです。家族ですら自分と違うというのは、誰のことも心の底から信用出来ないということに繋がってしまいました。  なので、その昔は今の皆さんの様に、誰もが常に武装はしていなかったのです。  驚きですね。  もちろん、私達はすぐに争うわけではありません。表向きは平和です。それでも、何かあればすぐにでも他人を攻撃出来るというのは、もしかしたら平和とは言えないのかもしれません。  皆さんはどう思いますか?私と同じ意見の人はいますか?  ああ、何人か手を挙げてくれてますね。  では、その方々に訊きます。    それ、ホントウですか―――?
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