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 『ブログ始めました。良かったら感想聞かせてください』  そんなラインが、突然送られてきた。  相手は高校の同級生だ。とはいっても、それほど仲が良かったわけではない。なぜ俺にそんな連絡が?と不審がりながらも、送られてきたURLからブログを覗いてみる。  まだ10件ほどしか書かれていないようで、とりあえず古いものから順に流し読みをしていく。  3件目まではここ最近の彼の日常や、思い出などが綴られている。  特に変わったことはないように思えた。まあ、ブログというのはこういうものか、と。  これに感想を聞かせてくれというのは、どういうことなのか。  と、4件目から少し流れが変わった。  どうやら彼はとある宗教にはまってしまったらしい。なんだか、やけに神や感謝や弾圧といった言葉が増えだした。  なるほど、そういうことか。  これはある種の勧誘なのかもしれない。  我々の考え方を見てみてどう思う?興味があるなら話を聞いてみないか?というやつだろう。  なんだか面倒くさくなってしまった俺は、数件読み残したまま、彼からのラインを既読無視することにした。    数日後、ふと気になって彼のブログを見てみた。  あれから数件アップされている。日付を見るとどうやら毎日更新しているらしい。ご苦労なことだ。  俺はあのラインが来た日に書かれたブログをなんとなく見てみる。    そこには、俺に無視されたことへの怒りや恨みがびっしりと書かれていた。    止めておけばよいのに、俺はその先のブログも読み進めた。次の日も、また次の日もとにかく俺に対する非難ばかりが延々と綴られている。それも物凄い分量で。  異常だ。  これを読んで最初に抱いた感情である怒りは、いつしか恐怖へと変わっていた。  そしてそれは、連絡が来た日より前の、読んでいなかった数件を確認してみて更に強まることとなる。  彼は自分が宗教に勧誘していたであろう、ある人物について書いている。  おそらく、拒否されたのであろう。この素晴らしい考えが理解できないなんて、人間ではないのではないか。そうだ、きっとあいつは人の姿をした悪魔に違いないとまで考え出す。  そして、最後には、そんな悪魔をついに葬り去ったと綴っている。日付は俺に連絡をしてきた日の前日だ。  と、ブログが更新された。  俺はすぐに開く。  そこには、こう綴られていた。  『私は再び悪魔を葬り去ることにした』   俺の背筋が薄ら寒くなったのと時を同じく、玄関のドアがそっと開いた。
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