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カラオケ
久しぶりに一人カラオケを楽しむことにした。
ちょうど駅前に新しく出来たカラオケがある。今日はそこへ行ってみよう。
店に入り受付で料金表を見て愕然とした。
とにかく安い。こんな値段でやっていけるのか。
「オープン記念なので」店員が言う。
まあ、安いに越したことはないと、私はとりあえず一時間だけ楽しむことにした。
「3番の部屋でお願いします」
そう言われて向かった部屋は、一人で使うにはあまりにも広い場所だった。
あまり客が入っていないのだろうかと心配になりながらも、とりあえず一曲目を入れる。
「3番さん曲入ります!」
突然聞こえてきた声の方向を見ると、手のひらサイズのおじさんが数人現れた。
その小さいおじさんたちは、楽器を演奏する者、カラオケ映像のような寸劇をする者、盛り上げる者と役割が決まっているらしく、皆サッとポジションについてそれぞれの働きをしだした。
曲が始まってしまったので、私は仕方なく歌うことにする。
「イエーイ!ヒュー!」
一曲を歌いきると、小さいおじさん達はとても盛り上がってくれた。
皆一様に清々しい顔をしている。それぞれの仕事をやり切ったのだろう。
私は彼らを横目に、フロントへ繋がる受話器を取った。
「あ、すみません。一人カラオケがしたいので部屋変えてください」
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