恋するサムライガール

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『ヤァァアア!』 『メーンヤァァアー!!』 『ィヤアアアアアッ!!』 『ウォアアアアアアア!!』 今日も威勢の良い掛け声が飛び交う道場で、激しくぶつかり合いながら、華麗な剣さばきで次々と相手を討ちとっていく女子。 西園寺 凛 二十歳、大学2年、剣道部所属。 小学6年で仲良くなった早紀ちゃんに誘われて始めた剣道。小中高、そして大学になった今も続けている。 ちなみに早紀ちゃんは、三か月で剣道をやめた。理由は素足だと冬場が寒いからだった…。 確かに冬の道場は寒い。 しかし、不思議と道場の寒さを辛いと感じたことはなかった。 逆に、夏は半端なく暑くて匂いが気になる。 これが剣道のマイナスイメージな訳だけど、実際にはそれほど臭くはならない。 それでも、大学では絶対におしゃれなサークルに入ろうと決めていたのに… なぜだか大学生になった今もなお、私は竹刀を振り続けている。 その理由はこの人、一ノ瀬 駿さん…。 見事な動きで鮮やかに相手を倒す、全国有数の剣の達人。対戦時の気迫と威圧感からは想像もつかないような、素敵な容姿をしていらっしゃる。 長身で、まるで王子のように爽やかな風貌。 そう、『王子』こと "一ノ瀬駿先輩 " に憧れて、私は入部を決意したのだった。
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