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いよいよだ!
なんだか嬉しくなった私は、ワクワクしながら背の高い慶太くんを見上げた。
「さぁ始まるよ、凛ちゃん!」
「ふふっ、なんだかワクワクするね。」
私を見下ろして言う慶太くんも、幾分はしゃぎ気味だった。
ヒュ〜ヒュルヒュル!ドドーン!ドンッ!
夏の夜空を彩る大輪の花火、体に感じるこの振動。
私は色鮮やかな花火を見上げながら、この瞬間を慶太くんと共有していることに深く感動していた。
私はいつの間にか息を止めていたようで、ふうっと息を吐いた後、ポツリとため息混じりに呟いた。
「キレイ… 」
「うん、キレイだな… 」
そんな私の耳元で慶太くんが言った。
「凛ちゃん、俺!
凛ちゃんがどんどんキレイになっていくから、他の奴に凛ちゃんを取られないか心配なんだ。凛ちゃん、好きだ!俺とつき合ってください!」
ヒュ〜!ドドーン!!
もはや大輪の花火も私の目には入らず、慶太くんの瞳を言葉も無く見つめているだけだった。
胸が熱い…
自分を諦めなくて良かった。
ちゃんと私を見てくれている人が、こんなに近くにいたんだ。
頑張って良かった…
「け、慶太くん、ありがとう!びっくりした!だけど、私で良ければ、よろしくお願いします… 」
とても自然に出た言葉だった。
突然の告白にも関わらず、私に迷いはなかった。
「凛ちゃんがいい!凛ちゃんじゃなきゃダメなんだ!ありがとう、凛ちゃん。」
慶太くんが、おずおずと私を抱きしめた。
私が彼の背中に手をまわすと、彼も安心したのか私をギューっと一段と強く抱きしめた。
額をくっつけるようにしながら、至近距離でお互いの目を見つめ合っていた。
ヒュルヒュル〜!ドドーン!ドンッ!
頭上の花火以上に美しいものが、キラキラと目の前に輝いていた…。
Fin
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