216人が本棚に入れています
本棚に追加
それから私は、時を見計らって、財布としばらく泊まれるだけの荷物を持って、空港に降り立った。
「来ましたね。」
「はい。あの、改めてお願いします。アルッティさん。」
「こちらこそ。」
自分でも馬鹿だと思う。
あの雨の日に出会ったばかりのアルッティさんに、付いていくだなんて。
でも他にいく場所もないし。
ここはアルッティさんを信じるしかない。
飛行機に乗って、向かう先はヨーロッパの方向だった。
「あの、アルッティさんの国って、ヨーロッパにあるんですか?」
「はい。と言っても、地図にも載っていない小さい国。」
「へえ。」
そんな小国の料理人なんて、日本人の私にできるかな。
なーんて。
ここまで来たら、やるしかない!
そして日本食ブームでも、起こしてやろうじゃないの!
最初のコメントを投稿しよう!