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 車は学校の裏にある教員用の駐車場に停め、3人で校舎に向かった。  と、言っても陶也は明らかにオマケといった感じだ。  学校に着いた途端、蒔田さんから(あんた邪魔!空気読め!)という視線を送られたが、イザヤが目敏く気付き、蒔田さんの頭を掴んでぐりんと方向転換させると、「お前、今、陶也にガン垂れなかったか?」と言って凄んだ。  しかし、そこは流石の蒔田さん。もうイザヤの弱点を捕らえたようで、イザヤに威嚇されると途端に涙を浮かべるという芸当に出た。すると、イザヤは身を引き、狼狽え、何も言えなくなって、ただ、蔑むように蒔田さんを見るしか出来なくなった。だけど、どういう訳か蒔田さんの目がすっかりハートマークになって、身をくねらせながら、陶也の肩をバンバン叩いてきた。 「なんかさー、この目付きって、すごくいいよね~。普通の奴がこんな目で見てきたらすっごくムカつくんだけど、イザヤさんだとなんかセクシーで溜まらなくない?」  と、蒔田さんは日本語でキャーキャー騒いだ。逞しい人だ。何でイザヤがそんな目で自分を見るのか考えない所がすごい。イザヤはすっかり呆れて、頭を掻きながらげんなりしている。 「あ、ほらほら!この目を閉じた顔も綺麗ー!」と、陶也の胸ぐらを掴んで揺さぶる。イザヤがパッと目を開け、こちらを睨むと、またキャーと騒ぎ、「目を開く瞬間なんかもう最高ー!真っ青な瞳がすごく綺麗で、もう視線だけで悩殺される!」と、手に力を込めるもんだから、危うく此方が絞め殺されそうになった。  蒔田さんの気持ちはすごくよく分かる。陶也だってそれは同じだ。イザヤの瞳はどんな表情でも魅力的だ。 「おい!いつまでじゃれてんだ!どっち行く?」  イザヤが不機嫌に訊いた。校舎の入口は二つあるのだ。  蒔田さんは透かさずイザヤの腕に絡み付いて、陶也とは反対側の校舎に引っ張った。 「あたしたちはこっちで、如月くんはあっちだから、ここでバイバイねー」  と言って手を振った。 「は? 何で陶也はあっちなんだ?」 「だって、如月くんは如月くんでクラスでやることあるんだもん」 「俺がそっち行っちゃ駄目なのか?」 「だめ!イザヤさんは生徒会と共に動いてもらうの!」  マジか?!という顔でこちらを見つめるイザヤに、陶也は仕方なく手を振った。 「また、後で」 「え?……え? 俺は陶也の様子を見に来たんだけど、先ずはそっちに行きたい!」 「授業参観じゃないの!!!ほんっとに過保護なんだから!!いい加減にしなさい!!」  と蒔田さんに叱られながら、イザヤは引き摺られていった。
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