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 5人を相手にコート内を縦横無尽にドリブルで切り込んで行く。そして、ゴール下に待ち構えていたディフェンスの頭上を飛び越え、ダンクシュートを決めると、また大きな歓声が上がった。  頭の上を飛び越えられた男子生徒は、何が起こったのか分からず、キョロキョロと辺りを見回すばかりだ。  イザヤの身体能力が高いのは知っていたが、ダンクシュートを決めるだけでもすごいのに、人の頭上を飛び越えるなんて、やっぱり体のバネが尋常じゃない。  家庭環境が酷くなければ、イザヤは常にスクールカーストの上位に君臨して、スポーツでもかなりの好成績を残していただろう。  そうしたら、誰も、イザヤ自身も、自分の事をゴキブリだなんて思わなかっただろう。  でも、そしたら陶也とも会う事がなかったかもしれない。  くるくると指の上でボールを回しながら、周りの歓声に手を振って微笑むイザヤが眩しかった。  太陽の光の下、走る度に彼の金髪がキラキラと美しく輝いた。  ふと、イザヤが上を向いて、3階の教室から見ていた陶也と目が合う。  陶也が小さく手を振ると、イザヤは急にボールを放り投げ、こちらの校舎に向かって走ってきた。  校舎の壁を蹴り、昇降口の屋根に乗ると、そのまま走って今度は旗ポールに足を掛け、陶也の居る3階の窓枠に張り付き、あっという間に陶也の目の前へひらりと現れた。
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